LOCAL ARTISAN

濱田窯 |Mojiko

森を後ろにたずさえた工房のそばに車を止め
木々の呼吸がおりなす、ほどよく湿った地面を踏みしめて
ふう、と一息吸う空気の美味しさ。
濱田窯の工房を訪れるときは毎回、この幸せから始まる。

高い天井、大きな窓からの陽の光をしっかりと浴びる展示室は、
鳥の声も雨の音もよく響く。展示室の左手に作業場、右手に立派な窯。
この場所で生まれた器が、どんな風に愛されていくのか、
想像をふくらませていると
いつしか工房を包み込む森の音はすっかり耳に入らなくなる。

愛媛の砥部焼の窯元で修行を積んだ濱田夫妻は
31歳で生まれ育った門司港に帰り、この場所で工房をはじめた。
以来、夫婦二人で、この窯と40年。
現在正明さんは陶器作りをメインとして、
奥様の陽子さんが絵付けをしている。

シンプルな形からポップな模様まで作風は幅広いけれど、
どれも使うほどに生活に溶け込み、どんなときも心を和ませてくれる姿形が特徴的。
古くから濱田窯の器を知る人は、時代を経て移り変わった作風の違いも味わえる。

「最近は自分の映る写真を見ると、しわの数に自分でも驚くよ」
お話し好きなのに、カメラを向けると少し恥ずかしそうにするご夫婦の
しわよりも愛嬌たっぷりのえくぼが忘れられず
再び心地よい落葉の音を聞きながら、工房を後にした。

お二人の作品から感じられる不思議な温かみの理由は、
きっとこの窯だけが知っている。

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濱田窯 HAMADA POTTERY
福岡県北九州市門司区喜多久185の2
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